監修:上田豊先生(大阪大学大学院 医学系研究科 産科学婦人科学・講師)
<2024年9月17日更新>
子宮頸がんの症状とは?
子宮頸がんは初期症状がほとんど出ないため気付きにくいという特徴を持っています。
そのため、発見されないまま何年もかけて進行してしまう場合があります。
初期症状は?どんな症状に注意したらいい?
子宮頸がんは、通常初期にはほとんど自覚症状が出ないことで知られています。
子宮頸がんが進行すると、「性交渉のときの出血」や「生理日以外の出血(不正出血)」、「おりものの増加」などの症状がみられます。このような症状を自覚した際は、早めに医療機関を受診しましょう。
自覚症状が出にくいからこそ、定期的な検診で確認していくことと、ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染する前にワクチン接種で予防することが非常に重要となります。
初期の子宮頸がん症状
ほとんどの場合、無症状(自覚症状がでない)
進行してからの子宮頸がん症状
性交渉のときに出血する
生理日以外でも出血する(不正出血)
いつもと違うおりものが増えた
※上記の症状がみられた場合、早めに医療機関を受診しましょう。
参考:患者さんとご家族のための子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん治療ガイドライン 第3版(2023年)
どうやって発症・進行するの?
子宮頸がんを引き起こすリスクの高いHPVに感染しても免疫機能がはたらいて、ほとんどが身体の外に出されるため、感染したらかならずしも「がん」になるわけではありません。一部残ったウイルスの感染が続くと、細胞が異常な変化を起こして前がん病変になります。
ただし、ウイルスがいなくなれば正常な細胞に戻る可能性もあります。
この段階では、自覚できる症状がないため、検診を受けないと進行の度合いはわかりません。
やがて、この異常な細胞が数年~数十年くらいかけてがん細胞になってから、ようやく症状が出てきます。
笹川 寿之 臨床と微生物 2009;36(1):55-62. より作図
国立がん研究センターがん対策研究所 子宮頸がんとその他ヒトパピローマウイルス(HPV)関連がんの予防ファクトシート2023:
子宮頸がんが進行するしくみ
子宮頸がんにかかる主なきっかけは、臓器の表面をおおっている上皮にある細胞(上皮細胞)がHPVへ感染することです。入ってきたウイルスが長くとどまると、細胞がずっと感染したままになり、異常な細胞が増えていきます。
異常な細胞が上皮の2/3以上になると「高度異形成(こうどいけいせい)(CIN3)」、上皮すべてを埋めつくすと「上皮内がん(CIN3)」と呼ばれます。※
これは、子宮頸がんの前がん病変(がんの前の段階)で、治療が必要な状態です。
※日本婦人科腫瘍学会.患者さんとご家族のための子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん 治療ガイドライン第3版(2023年)
※上図、画像の右側が見切れている場合は、右にスクロールすると続きをみることができます
以下参考に作図:
・笹川 寿之 臨床と微生物 2009; 36(1): 55-62.
・病気がみえる Vol.9 婦人科・乳腺外科 141.
・日本婦人科腫瘍学会.患者さんとご家族のための子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん 治療ガイドライン第3版(2023年)
監修 上田 豊 先生
大阪大学大学院 医学系研究科 産科学婦人科学・講師
1996年、大阪大学医学部卒業。2018年から大阪大学大学院医学系研究科産科学婦人科学・講師。婦人科がんの治療に携わりつつ、子宮頸がん予防の啓発に取り組む。日本産科婦人科学会:専門医・指導医、日本婦人科腫瘍学会:専門医・指導医、社会医学系専門医・指導医、日本疫学会:上級疫学専門家。
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